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相場が高くなっている時でも買ってよいマンション?

投稿日

:

2022.01.14

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職業柄、自宅マンションの購入について「この物件どう思う?」と相談されることがよくあります。市場環境が常に変わっていく中にあって、収益不動産の取扱いと同じ視点で安値で買って高値の時に売っていければ勿論健全です。しかし、私も自宅マンションを買い替えたりしていますが、自宅購入というのはライフイベントの性格が強く、買いたいタイミングで買える物件を買うしかない、という杓子定規な回答が何だ彼んだ妥当なケースが多かったと感じられます。賃貸の方がお得なのではないかなど、検討の材料は幾つも考えられますが、ご自身ご家族の人生設計を踏まえると、結局は、買いたいと思ったタイミングにおいて「買える」物件を選択されていくのがbetter(ベター)である場合が概して多いようです。

資金調達の側面

一番に、購入資金の調達機会を重要視すべきだと思っています。フル35年で住宅ローンを組めるのは一般に45歳くらいまでであり、業界というより日本の福祉政策の脆弱性の問題だと思われますが、いま現実として、家を借りられない高齢者問題は確かに存在し、一方で高齢になるほど住宅ローンの条件も厳しくなります。法人とは異なり個人というのは、いつまでも期待する住宅ローンを組めるものではありません。金利動向は中長期で見ると物価変動で回収されるものですので、主要な動機とすべきでないように思います。持家借家論争には、インフレ・デフレの趨勢予測といった視点もありますが(インフレが進行すると貨幣価値が低下しモノの値段が上がるため、現預金で資産保有しているよりポートフォリオを不動産などへシフトさせていった方がインフレの恩恵にあずかれます)、冒頭の「この物件どう思う?」に、このような経済論は的外れでしょう。

相対的な稀少性を検討してみる

では、例えば、相場が高い時期にでもどんなマンションなら買ってもよいか。

基本的に価格は需給のバランスで決まり、自用目的が主な需要者となってくる(所有者が居住することになる実需向けの)物件の場合、その相対的な稀少性が踏まえられると考えられます。購入時における価格水準の維持可能性をしっかり検討してみるということです。そもそもご自身が感じられる相場観よりもだいぶ高値で購入されていては論外ですが、GoogleMapなど航空写真で見てみて近くに(特に最寄り駅までとの間に)同等マンションが建設される可能性が低いと考えられるエリア立地である方が好ましいですし、敷地スケールが稀少性へ寄与するにしても、新築で購入される場合、ライフプラン(出産や卒入学など)により売却(買い替え)を考えるタイミングが重なる入居者が多いと考えられますので、あまりに大規模戸数のマンションで、ご自身の売り出し時期に競合物件が多数出てきてしまいそうなものは敬遠しておくなどの方法が考えられます。

また、いわゆるベッドタウンにおける中等グレードに該当するようなマンションの場合には、同エリアにおいて戸建て住宅を新規に調達しようとする際に必要となる土地建物のグロス金額が価格妥当性の判断で留意されるでしょう。

Case Study)”立地の稀少性” ザ・パークハウス自由が丘ディアナガーデン

基本に忠実なのはこういった検討となりますが、子供の就学校通学区域などありがちなハードルで、現実にエリア立地について吟味を尽くすのはそう簡単ではありません。しかし、軽視にはリスクの高い価格形成要因です。

マンションブランドについての雑感

メジャーセブンや財閥系の方がリセールバリューが高いなどといった話を耳にしますが、よくよく見ると、相場の上昇局面で財閥系などのマンション(の多いエリア)の方が値上がり率が高かったという話であることが多く、メジャーセブンや財閥系でも値落ちする時は相応にして来ましたし、そもそも相場の上昇局面を牽引するような、言い換えて値崩れしづらいような競争優位の(他所も欲しがる)エリアや立地へ進出できるのは、高品等までラインナップに取り揃えるような資金力あるデベロッパーに限られ易いというロジックに帰結出来るであろう話ですから、根っこを辿ればマンションブランドというより、エリアとそのエリアにおける立地性へ焦点を当てていく方がリセールバリューについて的を射るように思っています。

MAJOR7(メジャーセブン):東証一部上場(グループ)の大手デベロッパー
・住友不動産(シティハウス)
・大京(ライオンズマンション)
・東急不動産(ブランズ)
・東京建物(ブリリア)
・野村不動産(プラウド)
・三井不動産レジデンシャル(パークホームズ)
・三菱地所レジデンス(ザ・パークハウス)
ちゃりー! りあるえすてーと

ちゃりー! りあるえすてーと

◆収益不動産の経営分析クラウドサービス「CYARea!(ちゃりー)」公式アカウント https://cyarea.jp ◆上場事業会社の財務畑出身 不動産の評価分析やアセットマネジメントがコアな経歴の3児の父 ◆晩酌はザ グレンリベット 12年 ◆不動産経営におけるファンダメンタル分析を模索しています #不動産経営分析 ◆腑に落ちた記事がありましたらSNS等へシェア頂けると嬉しいです! https://twitter.com/CYARea_jp