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共益費(管理費)が取れていない物件はダメな物件か?

投稿日

:

2021.11.22

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この物件、共益費が取れていないのだけどこれから取れないかな?

収益不動産に係る相談の中で「この物件、共益費が取れていないのだけどこれから取れないかな?」というのがあります。物件概要書とレントロールを持ってきて、このような質問をされることが多いですが、不動産評価分析(Valuation)における総合的な観点では、賃料収入と共益費収入を分別して考えなければならない理由は殆ど無く、共益費込みの賃料水準として十分に収受出来ているのでしたら、その内訳としての共益費(管理費)の多寡についての分析検討は必要性に乏しいと考えられます。

「CYARea!(ちゃりー)」でも、「貸室賃料収入」と「共益費収入」とで入力欄を分けてはいますが、これは、日本の不動産市場において共益費(管理費)と賃料収入とを分けて管理されることの方が一般的であるという慣行に沿ったもので、不動産に係る各収支項目の全体像を一覧させる目的に拠っています。

共益費の収入面での影響は契約で授受される一時金の多寡についてだけ?

収入という面で貸室賃料と共益費とを分けて考える必要性が乏しい

共益費・管理費は「不動産の維持管理・運営において経常的に要する費用のうち共用部分に係るもの」とされ、実際には費用を賃借部分と共用部分で区別することは困難な場合が多く、実質的には賃料に相当する部分も含まれています。よって、不動産評価分析において周辺の類似不動産と比較する場合、共益費込みの賃料水準で比較検討する方が一般的です。

一方で、テナント側の意思決定過程を推測するに、一般にテナント側の賃料概念は、一般的な支払賃料のほか、契約に当たって、権利金、敷金、保証金等の一時金が授受される場合に償却があって実質的に賃料と同義に捉えられるものや、水道光熱費、清掃・衛生費、冷暖房費等について慣行上、付加使用料、共益費等の名目で負担するもの、貸室使用に伴い必要になった増設空調機器等の設置料、袖看板等の使用料等の総額になるはずです。

結果、テナント側が物件を比較検討する際には、一時金初期負担額も含め、特に転居費用が嵩む契約始期から当初3カ月程度の期間に要する賃料総額等を総合的に勘案するでしょう。

これらの内、付近で代替も可能な貸室,駐車場等の使用料については、近隣における相場(市場)形成が容易ですが、貸室を決めた場合に物件固有の設備機器等を使用せざるを得ない付加使用料,看板使用料等については、大まかな総額での相場感の中で、各ビル毎、受益者(各テナント)に公平に費用負担してもらうことを目的に、オーナーが独自に価格決定を行って運用しているものと思われます。

オフィス貸室広告等において、賃料が応相談でも共益費や看板使用料等について定額を表示している物件が見受けられるのもその一例で、交渉の結果としてテナント側が負担する(支払うことが出来る)総額から、共益費等の定額収受するものを除いたものが支払賃料として契約されてくるというのが実態だと推察します。

負担という視点において費用の名目自体は些末に過ぎない

賃貸借におけるテナントの意思決定過程では、前記した賃料総額の概念が比較的大きいものと思料され、テナント側にとっての支払費用の名目は、実態として総額の内訳表示に過ぎないように窺われます。一棟貸しの場合には、貸室に駐車場や設備使用料,看板設置料等も含めた総額賃料だけを決めて契約されることも多数です。

更新料や再契約事務手数料、権利金、敷金、保証金等の一時金が授受されるような契約形態になっている場合、これらを賃料の〇ヵ月相当額などと定義していることが一般的ですから、賃貸人としては「共益費(管理費」に相当する金員を全額「賃料」へ振ってしまった方が若干収益が増えるかもしれませんが、その程度の違いと捉えた方が無難のように思います。

ちゃりー! りあるえすてーと

ちゃりー! りあるえすてーと

◆収益不動産の経営分析クラウドサービス「CYARea!(ちゃりー)」公式アカウント https://cyarea.jp ◆上場事業会社の財務畑出身 不動産の評価分析やアセットマネジメントがコアな経歴の3児の父 ◆晩酌はザ グレンリベット 12年 ◆不動産経営におけるファンダメンタル分析を模索しています #不動産経営分析 ◆腑に落ちた記事がありましたらSNS等へシェア頂けると嬉しいです! https://twitter.com/CYARea_jp