収益不動産投資は経営者の視点で
例えば、税理士を経営のプロフェッショナルと勘違いし、アドバイスを鵜呑みにしてしまう経営者は少なくないように思われますが、本来、税理士は税務のプロフェッショナルです。そもそも税理士サイドも、経営顧問を引き受けているつもりはないと思います(経営顧問としての役割を期待するならば、然るべき報酬で役員として迎えられた方が適切です)。但し、「辻・本郷」や「山田&パートナーズ」クラスの税理士法人を創業された税理士の先生方は、紛れもなく経営のプロフェッショナルだと思います。もとい(他業務をお座なりにしてでも)普段から不動産経営へ力点を置かれているような方でないと不動産に関する示唆に富んだ意見は述べられず、そこに資格称号の如何は関わらないような気がしているといった余談です。
不動産投資は株式投資とは異なります
不動産は各種経営指標を投資家がコントロール可能
さて、不動産は、各種経営指標(収支項目)を投資家サイドが経営・コントロール可能であり、単に議決権が付与されるだけの株式投資とは、そこが大きく異なります。株式保有では、選任された優秀な経営者が会社の新陳代謝を勝手に図ってくれますが、不動産保有では単に放っておくと経年劣化してしまいます。CAPEX(Capital Expenditure:資本的支出)やFF&E(Furniture Fixture and Equipment:家具・什器・備品)リザーブなどの判断について、その責任は投資家へより直接的に帰属しています。
種々の専門家の各領域を理解しうまく活用する
不動産の経営では、税理士のみならず、FM(ファシリティマネジメント:不動産経営の適正化業務)・AM(アセットマネジメント:資産形成や運用、保全を行う業務)・PM(プロパティマネジメント:賃貸管理業務)・BM(ビルマネジメント:建物管理業務)・CM(コンストラクトマネジメント:工事監理業務)・損害保険会社(代理店)・金融機関などといった専門家が関与してきます。もちろん、これらのうち投資家自らが担当される業務があっても良いと思いますが、こういった専門家らの各領域をよく理解した上で上手に(適切に)使いこなしてROA(Return on Assets:総資産利益率)やROE(Return on Equity:自己資本利益率)といった指標を向上させていく経営者視点が収益不動産の運用には必要だと思っています。ROIC(Return On Invested Capital:投下資本利益率)に重点を置かれる方もあるでしょう。
不動産のグロス利回りはリターン(利益)の要素にしか過ぎない
そこで、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)といった視点において、不動産仲介業者がよく謳うグロス利回り(満室想定利回り)という概念はどれほど重視されるものでしょう。グロス利回りはあくまで一要素に過ぎないものであり、肝心となるネットで手元に残ってくるお金のシミュレーションはグロス利回りだけでは計り兼ねるはずです。
満室想定賃料と現行契約における貸室賃料収入等との比較から空室率といった逸失収益リスクを、各収支項目別のトラックレコード等からNOI(Net Operating Income:運営純収益)について然るべき在り処やコントロール出来る水準とのギャップを把握分析していかずにはシミュレーションは為らないのではないか。
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